立身流入堂訓

一・ 立身流を学ぶ者は、流祖神伝以来、歴代先師が、尊き実地試練の苦業を経て完成されし形、その他、古来より伝承されし当流の内容に聊かも私見を加え、私意を挟み、之を改変すべからず。

二・ 常に向上の念を失わず、先達者に就いて、絶えず個癖の矯正に心がけ、正しき立身流の形及び理合並びに慣行知識の修得と伝承に心がけよ。

三・ 個癖と個人的特性とを混同する勿れ。

四・ 立身流修業中、不知不識の間に、往々にして或る種の不正過誤に陷ること有り。拗れざるうちに宗家の指導を受けよ。

五・ 立身流の形を正確に体得したる後、更に不断の練磨に努め、思念工夫を凝らし技の冴えと、形の品格を高め妙趣を極めよ。

六・ 修業の道程は無限なれば、心を弛め、中断することなく、忙時と雖も寸暇を割きて常に稽古を持続せよ。

七・ 心目体用一致を自得せよ。

八・ 心の感応と働きにつき、執心工夫して自探発明し、前人未踏の境地に達せんことを心がけよ。

九・ 立身流古文書類の研究解明は必ず実技修得後に於いて、実技に照らしてなす事。実技と理合の対応なき研究解明は、判断を誤る場合少なからず注意すべし。

十・ 宗家の許可を得ずして、立身流伝書を伝授し、慢心して妄りに立身流類似の名称を付し、分派行動を執る事は許さず。                            

 以上十訓に則り、孜々として、勉めて止まざれば、何時しか必ず堂に入らん。

備考
   該十訓は立身流十八代宗家 半澤成恒の道場立成舎の規約たりしものの要旨をまとめ、踏襲し、起草したものなり。

昭和六十二年一月二十七日

立身流第二十一代宗家

加藤高